【文具】スタイルフィット登場!自分流にアレンジする喜び





三菱鉛筆が2009年に発売を発表している『STYLE-FIT(スタイルフィット)』は、リフィルを選んでホルダーに好きな組み合わせでセッティングしてゆくカスタムペン。

色を好きに選べるということがどれだけ嬉しいことかを人に説明するのは難しいが、筆記する機会が多い人で、なおかつ色分けの効用を感じている人ならわかってもらえると思う。

ところで、カスタムペンは従来品にもあった。

たとえばPILOTの『ハイテックCコレト』とかZEBRAの『シャーボX』がそうだ。しかしスタイルフィットはこれらの製品とはカスタマイズ性の幅広さと取りまわしの良さがまるで異なる。

試みに独断と偏見でこれら3製品を比較してみようか。





1:ハイテックCコレト -PILOT-

この製品はPILOTが誇るゲルインキボールペン「ハイテックC」をリフィルのみ自由に組み合わせることができるようにしたホルダーペン。

選択できる色は15色、芯径は0.3、0.4、0.5の中から選ぶことが可能。最大45種類のリフィルから好きに選べる。

ゲルインクの豊富なカラーリフィルで自由な組み合わせのペンを作ることができるさきがけとなった製品だ。

しかしながら本体ホルダーの装着力がいかにも弱い。

2色と3色タイプしかないのだ。

またゲルインクのリフィルしかなく、油性やシャープリフィルはない。

(※2008〜09年冒頭現在での話。のちに4色・5色ホルダー、シャープリフィル、消しゴムリフィルなどが追加される)

作りもややペン先がブレる印象。
書き味もいまひとつ滑り出しが悪く感じるのは個人的な好みの問題か・・・。



2:シャーボX -ZEBRA-

いわずと知れたシャーボは、シャーペンとボールペンの複合筆記具。シャーボXはシャーペンを含むボールペンリフィルを好きに組み合わせることができるようにしたシリーズ。シャーペンが使えるという点が特徴。選べるリフィルはちょっと他に類を見ないカラーバリエーションを展開。油性ボールペンは0.7と1.0のみだがセピアやブルーブラックなど、中間色が豊富だ。0.7は10色、1.0は8色。

またジェルインクボールペンもあり、こちらも豊富なカラーがそろっている。芯径も0.4(9色)、0.5(12色)、0.7(1色)から選べる。さらにシャーボXには「入力ペン」という選択肢もある。NintendoDSやPDFなどデジタル入力のためのペン先。

シャーペンは0.3、0.5、0.7の芯径から選択可。リフィルの選択肢の多彩さでは随一かと。

本体にはシャーペンを標準にし、ボールペンリフィル(ゲル・入力ペン)2色・3色のいずれかの物が選べる。デザインのバリエーションが豊富で6種(色バリ含むと22種)から選べる。

シャーボXは高級筆記具の位置づけで、ビジネスやデザイン系のユーザーを対象にしている。本体価格も3,000~10,000円程度の価格設定であり、文具店で誰もが気楽に買うという製品ではないかもしれない。



3:スタイルフィット -三菱鉛筆-

そしてスタイルフィットの登場である。

この製品はまだ市場には出回っていない。2009年3月18日に一部先行販売を予定されているが、全国発売は5月になってから。

本製品の最大の特徴は、リフィルが全55種あることもそうなのだが、本体ホルダーの選択肢の多彩さである。

・単色ホルダー(クリップ無)52円

・3色ホルダー(クリップ有)210円

・3色ホルダー(クリップ無)157円

・5色ホルダー(クリップ有のみ)262円

軸色はそれぞれメタリックブルー・メタリックピンク・シルバー・ブラックの4色。全部で16種類から選べる。

価格設定が極めて安価でありつつ、ハイテックCコレトより装着色数が豊富、つくりもスリム&スタイリッシュ。

もちろんデザインの好みは人それぞれあると思うので、一概には言えないが、まぁ妥当なものになっているのではないかと。

リフィルの方はと言うと・・・コレがまたすごい。

・ゲルインクボールペン 全16色(芯径0.28、0.38、0.5) 105円

ゲルインクならではの豊富な色バリエーションと、同社が誇る超極細芯径が採用されているところも見逃せない。

・油性ボールペン 全3色(芯径0.7、1.0) 84円

基本色の黒・青・赤のみだが、なんと、同社のヒット商品「ジェットストリーム」のインクを採用している。あの滑らか筆記をカスタマイズリフィルとして扱えるのはうれしい限り。

・シャープリフィル(0.5芯のみ) 189円

芯径は0.5のみだが、これだけ安価なカスタマイズペンにシャーペンを加えられるのはすばらしい。

芯にはやはり同社が誇る「ナノダイヤ」を採用。

しかもこのシャープリフィルはシャーボX のようにシャーペン機構だけ特殊な形状になっているものとは異なり、ボールペンリフィルとまったく同じ扱いで選択肢に含めることができるのだ。

それはどういうことかというと・・・ホルダーに装着するリフィルをすべてシャーペンにすることができるということ。

そのメリットは、色芯での使い分けも可能になるということなのだ。

やはり同社は「消せるカラー芯 uni COLOR」という製品でシャープ芯のカラー展開を行っている。しかも消しゴムで消せるのだから便利この上ない。色バリも6色と十分。

余談ではあるが、シャープのみの複合筆記具はながく品薄だったり廃盤だったりと、現在ではPentelの「ファンクション357」(0.3,0.5,07芯を入れられる複合筆記具)がかろうじて現役という具合だった(※後記:すでに廃盤品になりました)。

それだけに同径芯を同時に一本のペンに収められるというのはすごいことなのだ。

以上、油性・ゲルボールペン・シャーペン機構にさらにカラーシャープ芯の選択肢まで入れるとすれば、全部で67種から自由に選択が可能になるという、前代未聞の自由性がユーザーに与えられるのだ。

手帳やノートへの筆記を少ない本数で多彩に描きたい欲求が誰にでもあると思うのだが、結局はペンケースにたくさん持ち歩くか、あるいは妥協して少ない色数で慣れてしまうかというところでジレンマを感じている諸兄も多いと思う。

このスタイルフィットはそれらの欲求の解消につながる製品のような気がする。

(2009年初頭現在)



・・・

追記:

2013年現在では、

・ZEBRA:シャーボX

・PILOT:ハイテックCコレト

・三菱鉛筆:スタイルフィット

・ぺんてる:スリッチーズ

にくわえ、

・ZEBRA:プレフィール

というシリーズが加わって、カスタムペンの世界は一応の完成形をみたといった風情。

特に後進のプレフィールは既シリーズの足りない部分をすべて補って最強のラインナップを展開している。