【文具】ファイリングと穴の数の関係について

カール事務器 アリシス(2穴パンチャー)
高速ドキュメントスキャナの登場で書類のデジタル化が一般化してきてはいますが、ビジネスの現場では紙メディアがまだまだ現役です。

公的文書は法令保存年限が定められているし、契約書類、権利関係や資料の収集も紙主体という場面はまだまだ多いですよね。

確かに端末やネットワークの急激な発達と普及が進んだことにより「情報」は紙出力よりもスピーディなデジタルデータのほうが取り扱いも利便も高まったとは思います。

しかし、それは極めて短期的で消費的な用途に限って言えばの話だと思うのです。

私個人の考えでは、全てが電子化されて紙が全くなくなるという状況は私達の生きている社会ではまだ当分来ないように思います。

まあそうした移行期的な時代考察についてはテーマが大きすぎるのでひとまず置いときましょう。

今回は紙メディアの保存をファイリングの観点から考える記事です。



1 何穴のパンチャー使ってる?

だいたい紙資料をファイリングするときどこのオフィスでもパンチャーをつかっています。

そしてそのほとんどが2穴だと思います。

カール事務器 アリシス(2穴パンチャー)

綴じ込むファイルの方でも圧倒的に2穴に対応したものが多いので、市場を支配するのが2穴というのもわかります。

しかし、実はファイリングの穴数というのには2穴以外にもいろいろな種類があります。

A4汎用
3穴:A4規格向け
(特殊業務などに利用され、他の穴数と互換性なし)

4穴:A4規格向け
(3穴同様一般性は低いが、安定性が高い。2穴と互換する)

22穴:コンピューター出力書類で使われる特殊規格 

システム手帳
5穴:システム手帳で使われる規格
6穴:システム手帳で使われる規格
(A5とバイブルサイズ、ミニタイプで間隔が異なる) 

ルーズリーフ
20穴:A5サイズのルーズリーフの統一規格 
26穴:B5サイズのルーズリーフの統一規格
30穴:A4サイズのルーズリーフの統一規格

リングノート
08穴:A7ツインリングメモ帳等で多く見られる
17穴:A6ツインリングノートに多く見られる
21穴:B6ツインリングノートで多く見られる
24穴:A5ツインリングノートで多く見られる
29穴:B5ツインリングノート で多く見られる
34穴:A4ツインリングノート で多く見られる

ざっと挙げただけでもこれほど多様です。分類方法を変えれば他にももっとあります。

私達におなじみなのはシステム手帳を使ったことがある人には6穴、ルーズリーフなら26と30穴あたりでしょうか。

KOKUYO 「折り返せる超薄型バインダー」(ルーズリーフ規格が使える)


一般的なツインリングノート

ツインリングノートについては、個人がパンチャーで差し替えするという概念はあまり浸透していないかもしれませんが、LIHIT.LABというメーカーが独自に開発して普及させている「ツイストリングノート」のシリーズ展開において差し替え可能な規格として注目を集めています。

同社よりパンチャーも簡易版本格的なものが出てきています。

差し替え可能なリングノート「ツイストリングノート」


2 紙サイズの規格

さて、穴の前にその対象となる紙サイズのことにも触れておきましょう。

現行日本における標準規格はA判が用いられ、一般的にはA4サイズが主流です。かつての主流はB5サイズでした。

これは国際的な標準化の影響で日本でも平成の初期ごろに大々的に規格統一がなされたことによります。

もちろんB判がなくなったわけでなく、場面によってはまだまだ見ることができますし、学生向けノートの大半はB5サイズです。


しかし、ビジネスの現場では圧倒的にA4です。

公的機関ではこれを規定化して徹底していますし、企業でもそういう定義を用いているところもあるでしょう。

規格についての詳述は避けますが、A 4を基準に考えるのが基本だと覚えておいてよいと思います。

A判化についてもう少し詳しいことはここに書いています。↓

A判規格とファイリングの規格統一について


3 4穴と30穴の提案

スタンダードは2穴だと言いました。

ですが私は4穴と30穴についてここではおすすめしたいと思っています。

というのも、2穴には汎用性の点で一日の長がありますが、繰り返しの閲覧や保存性という観点からみるとやや弱いということがあります。

多くの人が、穴が破れて乱丁の様相を呈したファイルや、枚数が少ないファイルで中身がだらんと下に傾いたものを見たことがおありと思います。

2穴はそういう綴じ込んだ際の「姿勢維持」に難があります。

チューブファイルを利用していると特にそういうことが起きやすくなります。

しかし、これは穴数が増えれば解消できる問題です。


4 4穴のメリット・デメリット

4穴は通常の2穴と同間隔の穴が上下に一つずつ増える形になります。

たった2つ穴が増えただけで保持能力は格段に上がります。

この安定性はファイルの運用性をかなり上げてくれるものなので、ぜひおすすめしたいところです。

ただ4穴のデメリットは、それを綴じ込むべきバインダーの入手性に難があるということです。

もちろん事務機器メーカーはそれを製造していますし、発注すればいくらでも手に入れることはできます。

しかし、一般的な文具店においてあるケースは少ないですし、ましてや、その普及率と認知度は日本社会ではあまり高いとはいえません。

しかも穿孔する(穴を空ける)ときに使うパンチャーも専用のもの(一度に4穴開けることができるタイプ)も入手性がいいとはいえません。

とはいえ、救済策として「ガイドのある2穴パンチャー」ならたいていは応用的に4穴穿孔可能なので、その点を勘案して使ってみるのはありだと思います。



5 30穴のメリット・デメリット

さて、4穴以上におすすめしたいのがA4ルーズリーフでお馴染みの30穴です。これは普及率と認知度の点でも日本社会では相応の実績があります。

しかもパンチャーは一般的な文具店でも入手しやすいですし、種類も選べます(下の写真は最も簡易なタイプで、少ない枚数を開けるならコンパクトでよいです。大量に穿孔できるタイプの製品もあります)。

ノートリフィルとの併用も可能なので、拡張性も大いにあります。

カール事務器 ゲージパンチャー

それに、多穴タイプは通常バインダーがリング式になっていますので、見開いて閲覧するのに大変重宝します。

書類の保持性も高く、破れて乱丁するリスクも殆どありません。

しかも、多穴タイプは2穴に比べて穿孔位置がより外側になるので、書類内容に干渉せずに穴が空けられるメリットもあります。

ただしチューブファイルのように幅8センチや10センチの大容量のようなものはないので、大量書類を簿冊化するのにはむいていません。

参照性の点から少量・中程度分量の資料をファイリングするのにこれが向いているのではないかと思うのです。

もしご自身の環境で穴数を増やす可能性を模索できるなら、一度は検討してみてはいかがでしょうか。