【文具】A判規格とファイリングの規格統一について


皆さんの普段使う書類のサイズはどの大きさでしょうか。
B判を使っているところも稀にみることがありますが、おそらくA判を主に使っているはずです。

先日ファイリングと穴の数の関係についてというエントリを上げましたが、今回は紙のA判化(主にA4)と規格統一の重要性及びそのファイリングについてお話してみたいと思います。




1 日本におけるA判化の歴史

B判は日本固有の紙のサイズ(規格)で、その起源は江戸期以前に遡るといわれます。土地を治める領主たちの管理文書に使われた和紙(美濃紙が起こりといわれる)のサイズを明治以降に日本政府が標準規格化し、戦後には「日本工業規格(JIS)」がそれを引き継ぐ形で現在まで残ってきたもので、いわば歴史的な公文書規格だったんですね。

一方、A判規格はドイツの工業規格発で、国際標準規格(ISO)もそれに準じており、具体的には「ISO216」で定められています。日本でも規格自体はJISに定めはあったものの、国がB判文書を主流に使い続けていたため、A判よりもB判が広く一般的でした。
平成の初め頃(1991年頃)に国として国際標準に合わせようという考えのもとそれまで主流だったB判を全面的にA判化する動きがでてきて、1993年4月から現在に至るまでほぼ公式文書や行政文書はA4サイズに統一されています。教育現場やノートのサイズにB判が若干残っていますが、文書はA4が基準となっています。


A判サイズは白銀比と称され美しい比率といわれます。またB5よりも1枚あたりに含めることが可能な情報量も増えますし、またファイリングや整理するのにも適したサイズと言われています。

私のかつての勤務先は昭和の戦後すぐに立ち上がった行政がらみの施設でしたから、保存文書の多くがB判でした。1993(平成5)年あたりから永年保存文書(原則破棄せずにずっと保管しておく文書)の簿冊(ファイルされたバインダーをだいたい昔ながらの行政機関ではこのように呼称します)がしっかりA判サイズに切り替わっていましたので、統一的な潮流だったことがよくわかります。

2 ファイリングと収納のこと

A判化は国際的な状況にあわせて進められたものですから、これの是非を云々することにはあまり意味がありません。それより、統一することのメリット、異なるサイズの書類が混在していることのデメリットを考えてみましょう。

前述の私の勤務先では、A判化に伴い、ある時期から簿冊のサイズが変わっていますから、その並びの書棚だけ急に高さが違っていました。いまさらB判時代の書類をすべてA判化し直すことなどできませんので、そのままにしておくわけですが、段差が生じる分だけ書庫の棚板の調整に無駄が出てきます。それを眺めながら「規格がバラバラだったらたいへんなんだなぁ」と実感していました。

切り替え年度で一斉に綺麗にすべての文書がA判化されたかというと実際はそうでもなく、長らくA判書類にB判書類が相当量混在している時期が続いていました。ですから簿冊はA4サイズであっても、中身はA4のほかB5だのB4が混じっており、項目見出し(インデックスシール)でナンバリングしてあってもサイズの小さいB5がページに埋没して見えなかったり、B4が変な形で織り込まれてあったりと、検索性・閲覧性は甚だ悪い状況でした。
徐々にそれも減ってそのうち数年で綺麗にA4・A3に統一されていきましたが、移行期の事務現場の混乱は相当のものだったでしょうね。

繰り返しになりますが、上のようにA4書類にB5書類が混在しているとインデックスを付けるにしても幅が異なるため、サイズの小さいB5書類はA4書類に埋没してしまい、検索性が損なわれてしまいます。 事務仕事に疎い人の中にはそういうことを考慮せずにファイリングを行う場合もあるため、あとから資料を参照しようとしてもうまく探せないということも起きてきます。 これは事務を営む者にとってほんとに不愉快なものなんです。
ファイリングは検索性と参照性の良さが最大の眼目ですから、規格の統一の意味については誰もが知っておいたほうが良いものだと思います。



3 規格統一徹底の具体的なコツ

そうはいってもA4じゃないものが混ざってくる時はどうすればいいの?という声も聞こえてきそうです。規格がA判化されたとはいえ、民間の外部組織ではB5で文書を出してくることがいまだにありますし、ファイリングする際に封筒や葉書を一緒に綴るということもあります。同じA判でも微妙に差異があったり、A5サイズの文書というのも時々はありますし。
ということで、いくつか例を挙げてそういう規格外のものの対処法をご紹介してみたいと思います。

・サイズの小さい書類を綴じたい

これは簡単です。A4用紙にそのままスクラップのごとく貼り付けてしまえば良いのです。それでA4化が完了です。
原本保存の必要がないなら、A4用紙にコピーし内容だけ参照可能にして、原本は破棄してしまうという方法もよく取られる方法です。

スクラップにはテープのりの超定番を。↓


・微妙にサイズが大きい書類を綴じたい

これには二通り対処法があります。ひとつはA4サイズに切り抜いてしまう方法です。内容が切れてしまうのが困る場合は、切らずに折り込んでA4サイズに合わせます。その際後からの閲覧を考慮してページの繰りやすさに配慮するのを忘れずに。
もうひとつはA4に収まるように縮小コピーしてしまう方法です。数量が多くて、折り込むのではかさばってしまう場合に使える方法です。ただその分紙を消費することになるので注意が必要ではあります。
とはいえ、コストパフォーマンスを言うなら、綴じる分量の多さとバインダーの数は比例するわけですから、ファイリングは効率的に最小化してゆくほうがトータルでのコストパフォーマンスが高まるのではないかと私は考えます。

・ハガキや封書を一緒に綴じたい

裏表ともにあとからの参照が必要な場合はクリアポケット、もしくはクリアフォルダなどに入れてA4化して綴じ込みます。
片面の内容だけを保持できればいいなら、小さな書類同様A4用紙にスクラップしてしまえば大丈夫です。



・穴を開けたくない、ノリで貼りたくないものを綴じたい

何かの小冊子やパンフレットなどスクラップに向かない類のものは、そのまま穴を開けるということもできますが、クリアポケットを利用するといいでしょう。2穴バインダ、30穴バインダには適合する穴数のポケットやホルダー等のリフィルが多彩に揃っています。はがき用、写真用、ディスク用、フリーポケット、上下二段になっているポケット式ホルダー、マチ付きのものなどがあって、やろうと思えばありとあらゆる物をA4化することができます。
事務用文具の中にはシール方式で書類に貼りこむクリップテープという製品もあります。

クリップテープ。↓2穴用と30穴対応タイプが有ります。


穴の補強にはこの製品↓がド定番!


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いかがでしょうか。ごく簡単にファイリングにおけるA判化と規格統一の重要性について書いてみました。ここでは事務作業上の観点から述べましたが、このA4統一の徹底は、散逸しがちなメモや資料を全て同一バインダに集積してゆく技術として個人においても役立たせることができると思います。

番外として、ファイルそのものに手を加える方法も応用的に使えるかもしれません。参考になさってください。↓

フラットファイルをカスタマイズして便利な持ち歩きツールを作る

情報や記録を一元化して整理しなければならない場面は多いと思います。紙と付き合い続けてゆく上でそのことに気をつけて置くと意外なほど整理がはかどりますので、ぜひぜひ意識してみてください。